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by Miyouki NAKAJIMA
「クチュールフラワー」のこと
SOIE:LABO(ソワ・ラボ)の花、布で作られた植物のことを、私は「クチュールフラワー」とよんでいます。
一輪の花を咲かせるために “仕立てられた” もの だから。
世界のファッション、モノの価値観は、ここ数年で大きく変わりました。
私の敬愛するYves Saint Laurent氏をはじめとする素晴らしいオートクチュール・デザイナー達がかつて生み出してきたルックは
今や私たちが簡単に手に取ることのできるものになり(それは素材や縫製などがとても簡素になった形で。)、
更には、そのまた簡素なお洋服や服飾雑貨も何百円、何千円という価格でお店に並ぶ時代になりました。
でも、その背景に目を向けたことはありますか?
発展途上の国で、素晴らしい技術を持っているにも関わらず、考えもつかないような低い時間給で働かされている女性たちがいるのです。
かつて、「造花」の本場フランスには、貴婦人のための服飾雑貨として“花を仕立てる”工房が数百軒もあったそうです。
それが戦後、女性の社会進出やモノの価値観の変化など、時代が「手で作った花」を必要としなくなっていったのでしょうか、
それとも“花を胸元に飾る気持ちの余裕”がなくなったのでしょうか、
今ではパリ市内にも3軒ほどの工房しか残っていません。
その工房では、伝統工芸の技術を大切に引き継ぎながら、パリ=コレクションのメゾンやお得意様のために“仕立てて”います。
日本には「あつらえる」という素晴らしい響きの言葉があります。
私がこの仕事をはじめたワケ。
残された「花をあつらえる」という贅沢と、「花を胸元に飾る」という贅沢を、もっと広めたいと思ったのです。
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